RPAコラム
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RPA運用で失敗しないための人材育成と体制づくり

(更新日:2025年1月7日)
はじめに
RPA(Robotic Process Automation)の導入に成功する企業が増える一方、運用段階でつまずく例も少なくありません。
特に、適切な人材育成や運用体制の構築が不十分だと、エラーの頻発や効果の低下につながることがあります。
本記事では、RPA運用を成功に導くための人材育成と体制づくりについて、具体的な方法を解説します。
01RPA運用に必要な人材と役割
まずRPA運用を支えるためには、以下の役割を担う人材が必要です。
人材 | 役割 | 必要スキル |
---|---|---|
RPA開発者 | 業務要件に基づき 自動化シナリオを設計・開発 |
ツール操作 業務フロー設計力・論理的思考 トラブルシューティング能力 |
運用・保守 担当者 |
稼働中のRPAシナリオを監視し 問題発生時に迅速対応 |
エラー対応 モニタリングツールの活用スキル 業務変更時の調整能力 |
RPA推進者 管理者 |
経営層と現場をつなぎ RPA運用を統括 |
マネジメント能力 コミュニケーション能力 データ分析力 |
02人材育成の具体的な方法
次にRPA導入後の運用を成功させるには、RPAを扱う人材を育成することが重要となります。
以下に、具体的な育成方法を詳しく解説します。
1. 社内研修や外部トレーニングの活用
(社内研修)
RPAを自社の業務に応じて活用するため、社内でカスタマイズした研修プログラムを実施します。
- 基礎研修:RPAの概念や導入効果、ツールの基本操作を学ぶ
- 実践演習:自社の業務を題材に、簡単な自動化シナリオを作成
- 応用トレーニング:エラー処理や例外対応など、実務に近い課題に取り組む
メリット
自社の業務内容に特化した研修が可能であり、既存社員を育成することで、外部人材の採用コストの削減に繋がります。
(外部トレーニング)
RPAツールを提供する企業や専門機関が開催するトレーニングプログラムを活用します。
- 初心者向けの基本コース:ツールの基本操作や導入の流れを学ぶ
- 中級者向けの開発コース:シナリオ設計やカスタムロジックの構築
- 運用保守コース:トラブル対応やメンテナンス手法
メリット
最新の技術や業界標準に基づいた内容を学ぶことができ、外部の専門家からアドバイスを受けられます。
2. 小規模な業務から実践を通じて学ぶ
RPAスキルを習得するには、実際の業務を題材にして試行錯誤することが最も効果的です。
ステップ1業務の選定
簡単で影響範囲が小さい業務を選ぶ
(定型的なデータ入力作業、簡単なレポート作成など)
ステップ2シナリオ作成とテスト運用
開発者が作成したシナリオを現場で試行し、問題点を洗い出す
(Excelファイルからデータを読み取り、別システムに入力するシナリオを作成)
ステップ3成果の共有
成功したシナリオや課題解決策等をチーム内で共有
POINT
実践を通じて、理論だけでは学べない現場での課題解決能力が身につき、成功体験を積むことで、社員がRPA運用に自信を持てるようになりなります。
03運用体制の構築
RPAの運用で失敗しないための運用体制の構築には、ガバナンスの確立と運用フローの整備が重要となります。
ガバナンスの確立
どの部署がRPAを管理するのか、運用ルールを明確化し、全社的に統一します。
運用フローの可視化
管理台帳で稼働中のシナリオや作成者、実行状況を一元管理します。
モニタリング体制として、KPIを設定し、RPAの稼働状況や効果を定期的に確認します。
改善サイクル(PDCA)
導入後の効果を測定し、継続的な改善に努めます。
04人材育成と体制構築で運用を改善した企業の例
ある小売業の企業では、RPA導入後にエラー頻発や運用コストの増加が問題となっていました。 そこで、以下の施策を実施しました。
(人材育成)
社内トレーニングを実施し、10人の社員をRPA開発者として育成
(運用体制の強化)
専門のRPA運用チームを設置し、全社のシナリオを統括管理
(運用フローの見直し)
管理台帳を作成し、稼働中のシナリオを一元化
結果
- 運用保守コストを年間30%も削減
- エラー頻度が50%にも減少し、現場の負担が大幅に軽減
- 社内でのRPA活用率が80%にも向上
このように、人材育成に力を注ぎかつ運用体制を強化したことで、結果的に運用保守コストの削減に成功しました。
まとめ
スキルと体制が成功の鍵
このようにRPA運用を成功させるには、次の3つが不可欠であることがわかりました。
人材育成 | 運用体制の整備 | 継続的な改善 |
---|---|---|
ツール操作やシナリオ設計の スキルを習得 |
明確なルールと効率的な 管理フローの構築 |
効果を測定し 運用の最適化を図る |
いかがだったでしょうか?この3つを実行することで、RPA導入効果を最大限に引き出し、企業の業務効率化を持続的に進めることができます。